主な精神障害について、よくみられる病状を解説します。この病名のすべての患者さまが同じ病状を認めるわけではありません。精神医学的な診断は精神科医がおこないます。

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 統合失調症について

統合失調症はどのような病気?


それまでは同年代の他の者と同じように過ごしていたものが、多くは思春期以降に、話しにまとまりがなく、脱線し、会話のキャッチボールができなくなる。見られている、聴かれているなどと被害的なことを言い、他人のしぐさやまわりの変化が、自分に関係していると述べ、大変なことが起こる、自分は高貴な人間だなど明らかに現実離れした内容のことを話し、相手の話を聞かず、自己主張が強い。考えていることが外に漏れている、自分の考えが、何者かに抜き取られると言い、訂正が困難となる。
現実には存在しない声が聞こえる、あるいは存在しない人物などが見えるなどと言い、幻の声の内容は、死ね、バカなど本人を中傷する内容のものが多く、その声と会話しているかのような独り言があり、時にけんかしているような乱暴な言葉を発する。落ち着きがなく、行動はまとまりに欠け、目的が不明な動作がみられる。一方的に怒り、時に攻撃的な態度をとり、興奮することもある。
喜ぶことがなく、趣味や読書やテレビなどを楽しむことがない。家族や友人との交流がなくなり、学校や仕事に行かず、外との関係性を断ち、閉じこもる。
昼夜の生活リズムが逆転し、昼間寝て、夜中に起きている。食事は不規則で、同じ物しか口にせず偏食し家族と食卓を囲むことがなくなる。時に、食事に毒が入っていると言い、販売されている包装された食品しか口にしなくなる。入浴を拒否し、着替えをせず不潔な身なりをし、ひげや毛髪の手入れをせず、髪の毛や爪は伸びたままで気にも留めない。暑い日にセーターやオーバー、寒い日にTシャツや短パンで過ごすことがある。
周囲の制止にもかかわらず毎日多量に飲酒し、一日数十本喫煙することもある。生活全般においてだらしないものとなる。

おおよそ100人に1人にみられます。男女差はありません。
これらの病状を認めたら、早期の受診を推奨します。

統合失調症の患者様の治療


① 生活指導
・生活のリズムを整える
・バランスのとれた三度の食事をとっていただきます
・定期的な入浴や手洗いを行い清潔の保持に努めます
・歯磨き・洗顔・ひげそりなどの整容、衛生的な着衣
・身の回りの整理整頓

② 対人関係の改善、娯楽
・医療スタッフや他の患者さまとの対人的ふれあい
・談笑・ゲーム参加
・テレビ・個人での音楽鑑賞など

③ 悩みや心配ごとの傾聴
・看護師・精神保健福祉士・臨床心理士・医師などが悩み事や心配事を傾聴し、適切な助言を行います

④ 精神療法
・医師が受容的な態度で傾聴し、過度な心配や悲観的になるのを防止し、自らが病状を受け入れ、治療しながら生活できるよう助言を与え、ご本人を支持していくものです

⑤ 疾患教育
・病気の特徴について、医師・臨床心理士・看護師・作業療法士・精神保健福祉士などが、個別であるいはグループで説明します。症状の特徴、病気の治療法、薬の効果と副作用、退院後の生活の注意点、社会的資源の紹介と活用法などについて勉強するプログラムです

⑥ 認知療法
・実際には存在しない声なのか実際のものかの区別方法や、それらに影響されない日常生活上での対処法、気分の落ち込みが激しいときの対処法などについて医療スタッフが解説し実際の対応を学習します

⑦ 作業療法
・自己管理能力を高め、社会生活機能の回復を目的として、ご本人の希望のみならず社会での適応や生活技術向上のために、医師や作業療法士がプログラムを作成します。手工芸、絵画、陶芸、園芸、料理、音楽、ストレッチ・ヨガ、スポーツ、季節レクレーション、PC操作などがあります

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 双極性障害(躁うつ病について)

双極性障害(躁うつ病)はどのような病気?


① うつ状態から病気が始まることが多いとされています。
うつ状態は、ゆううつな気分、理由もなく悲しい気持ち、周囲に興味がわかず、喜びを感じない、仕事や勉強や家事に意欲がわかない、体が重く動かない、いらいらが強い、疲労感、気力がわかない、自身の無価値観、罪深く思う、金銭的な心配が強い、思考力がなくなった、集中力がない、決断力がない、眠れないあるいは寝すぎてしまう、食欲がないあるいは食べ過ぎる、体調不良があり体に何か病気があると思う、死にたい気持ちがある。
これらの自分の変化を自覚する、あるいは他人から指摘される。
このような自分の変化がほとんど一日中ほとんど毎日続き、学校に行くこと、仕事すること、家事などができなくなります。

躁(そう)状態は、気分が著しく高揚し、怒りっぽく、活動的になり、自尊心が大きく、睡眠時間が著しく短く、異常におしゃべりで、話が止まらず、いろいろな考えが口から出てまとまらず、注意散漫になります。疲れを知らず、倫理観に欠けた言動がみられ、お金の使い方が荒くなり浪費します。これらのために、学校や仕事や家事など日常の社会生活を続けることができなくなります。このような状態がほぼ毎日、一日の大半にみられる場合は躁状態の可能性があります。また、これらの状態が比較的軽い軽躁状態もよくみられます。

これらのうつあるいは躁状態の現れ方には個人差があります。うつ状態を繰り返した後に躁状態になるタイプ、躁状態から発病するタイプなど。うつだけを繰り返すうつ病と思っていても、本人も周囲も気づかない軽い躁状態をうつ病相と次のうつ病相の間に認めていることもあります。うつ病と双極性障害では治療の方法が異なるため、正確な診断が必要です。

双極性障害の患者様の治療


① 生活指導
・生活のリズムを整える
・バランスのとれた三度の食事をとっていただきます
・定期的な入浴や手洗いを行い清潔の保持に努めます
・歯磨き・洗顔・ひげそりなどの整容、衛生的な着衣
・身の回りの整理整頓

② 対人関係の改善、娯楽
・医療スタッフや他の患者さまとの対人的ふれあい
・談笑・ゲーム参加
・テレビ・個人での音楽鑑賞など
特に、うつ状態の時に他人との交流が苦痛に感じるような場合は、ゆっくりベッドで休んでもらいます
また、躁状態には他人とのトラブルを防止するために距離をとることを指導します

③ 悩みや心配ごとの傾聴
・看護師・精神保健福祉士・臨床心理士・医師などが悩み事や心配事を傾聴し、適切な助言を行います

④ 精神療法
・医師が受容的な態度で傾聴し、過度な心配や悲観的になるのを防止し、自らが病状を受け入れ、治療しながら生活できるよう助言を与え、ご本人を支持していくものです

⑤ 疾患教育
・病気の特徴について、医師・臨床心理士・看護師・作業療法士・精神保健福祉士などが、個別であるいはグループで説明します。症状の特徴、病気の治療法、薬の効果と副作用、退院後の生活の注意点、社会的資源の紹介と活用法などについて勉強するプログラムです

⑥ 認知療法
・気分の落ち込みが激しいときの対処法、あるいは躁状態での対処法などについて医療スタッフが解説し実際の対応を学習します

⑦ 作業療法
・自己管理能力を高め、社会生活機能の回復を目的として、ご本人の希望のみならず社会での適応や生活技術向上のために、医師や作業療法士がプログラムを作成します。手工芸、絵画、陶芸、園芸、料理、音楽、ストレッチ・ヨガ、スポーツ、季節レクレーション、PC操作などがあります

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 認知症について

認知症はどのような病気?


認知症は、正常な知的な発達をした成人が、何らかの脳の病気や外傷後に、その知的な機能が障害された状態をいいます。症状として
①認知障害
新しいことが記憶できない、これまでの人生の事柄を思い出せない、家族やその他の人間関係がわからない、文章の読み書き計算ができない、時と場所がわからない、自分のまわりの変化の理解ができない、社会の変化に関心を持てない、意思決定や判断力に欠けるなど
②行動精神症状
存在しないものが聞こえるあるいは見える、物が盗られたと強く主張する、大声を発し興奮する、不安が強く落ち着かない、食事を拒否あるいは過度な食欲、夜間不眠、逸脱した抑制に欠けた言葉や行動など
③神経症状    
手が震える、飲み込みができない、言葉を発することができない、立つ歩くができない、寝たきりになる、暑い寒いがわからない、臭いがわからない、味がわからない、耳が聞こえない、尿便を漏らすなど

認知症の種類として、
①アルツハイマー型認知症
②脳血管性認知症
③レビー小体型認知症
④前頭側頭型認知症

認知症を認めることがある他の病気として
①外傷性脳損傷による認知症
②物質・医薬品誘発性認知症
HIV感染による認知症
④プリオン病による認知症
⑤パーキンソン病による認知症
⑥ハンチントン病による認知症
⑦他の医学的疾患による認知症
⑧複数の病因による認知症
⑨特定不能の神経認知障害     などがあります。
(参考文献:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院)

認知症の患者様の入院治療


認知症の症状は、認知障害、行動精神症状、神経症状がありますが、患者さまによりそれらの症状の有無や程度は異なります。個々の患者様の症状に合わせて、治療計画と看護・介護計画を作成します。
認知障害に対して、医師が認知機能障害の進行抑制を目的として、コリンエステラーゼ阻害薬などの薬物療法を行う場合があります。また重篤な行動精神症状に対して薬物療法を行うことがあります。さらに患者さまの気分や感情を安定させる目的として、回想法、音楽療法、作業活動療法などが医師、看護師、作業療法士、臨床心理士などによって行われます。日常の療養生活に対する指導と介助が看護師、介護福祉士などによって行われます。回想法、音楽療法、作業活動療法について説明します。

①回想法:高齢者の過去の人生の歴史に焦点をあて、過去、現在、未来へと連なるライフヒストリーを傾聴することを通じて、その心を支えることを目的とする療法。認知症患者にとって過去に焦点を当てる回想法は、何か新しいことを記憶し学習するものよりも抵抗感や負担が少なく、過去に慣れ親しんだ道具や生活用品を見ることにより患者の五感や感情を刺激し、認知機能や情動を活性化する効果があると考えられる。そして孤独感や不安感の軽減、自尊心の向上、意欲の高まり、対人交流の促進などの効果が期待されます。(参考文献:日本精神科病院協会雑誌2017 vol.36 No.8 p39-45

②音楽療法:音楽療法は取り組みやすく、受け入れやすいため、広くおこなわれています。音楽療法の目的として、身体や言語の機能回復を目指すリハビリテーション、認知症予防として認知機能への働きかけ、認知症とともにより良く生きる認知症ケア、終末期を迎えている方へのエンド・オブ・ライフケアなどがあります。実際は、なじみのある曲を観賞する、歌う、発声する、体でリズムを刻む、楽器を鳴らすなどの活動を行います。(参考文献:日本精神科病院協会雑誌2017 vol.36 No.8 p52-57

③作業活動療法:目的がある作業や行動、課題達成や成果を期待して行われている作業活動です。⑴日常生活(食事動作、排泄動作、更衣動作、整容動作)⑵日常生活関連動作(調理・配膳活動、掃除・家屋管理活動、洗濯・衣類管理活動など)⑶非生産的作業(レクリエーション、スポーツ、趣味、芸術)⑷生産的作業(編み物、製菓・調理など)⑸ペット飼育、農園芸、酪農(ペット飼育、養鶏、園芸・菜園など)などがあり、対象者の認知症の程度や本人の希望から作業活動の種目を選び、作業療法士や看護者が指導します。
(参考文献:日本精神科病院協会雑誌2017 vol.36 No.8 p78-83

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精神科の病気にはどのようなものがありますか?

「精神状態に異常をきたす状態、疾患」一般を扱いますが、主な病気としては「統合失調症」「うつ病、そううつ病」「不眠症」「認知症」などでのご相談が多いと思います。原因が分からない段階でも、何らかの精神的な変調があり、解決の必要がある場合は気軽にご受診ください。診察の結果、もしも他の科の病気(ホルモンの異常など)が主とわかった場合は、ご紹介をさせていただくことになります。

精神科の病気では、主にどういった症状がありますか?

①普通の人でもあるもの 「眠れない」「気分が沈む」「イライラする」「不安だ」など、だれでも見られる精神的な変調です。ただし、それが
●あまりにも程度が強い場合
●ストレスなどが無くなっても、長期間にわたり続く場合
●仕事や家庭生活など、他の人との関係を悪化させてしまう場合
には、私たちがお手伝いできることがあります。受診を、ご検討ください。
②普通は見られないもの
「空耳が聞こえる」「誰かに操られている」「死んでしまいたい」など、普段では考えられないような精神の変調があった場合はご相談ください。外来担当医が診察を行い、それがストレスなどのせいなのか、精神的なご病気が隠れているのか、判断いたします。


統合失調症の症状について  双極性障害の症状について  認知症の症状について

精神科、心療内科、神経科の違いはありますか?

心療内科は、原則としては「心身症」つまり、精神的なものが原因となった「身体症状」(胃潰瘍や動悸など)を見ることになっていますが、実際には「うつ病」や「摂食障害」といった精神科分野の治療も行うことが多く、精神科と重複する面が多くあります。
 「神経科」は、多くの場合「精神科」とほぼ同じ意味です。
 なお、「神経内科」は、脳梗塞などの神経疾患や筋ジストロフィーなどの筋肉疾患を診る科であり、精神科とは分野を異にします。

精神科の病気の、原因は何ですか?

統合失調症やうつ病など、主な精神疾患の原因は、今のところ分かっていません。ただし、「何らかの脳の異常」と「ストレス因子」の双方が絡み合って発症に至っているというところまではほぼ判明しています。どちらの要素が大きいかは、疾患や、一人ひとりの状態によって違ってきます。なお、時に、体の病気(脳の腫瘍やホルモンの異常など)が精神症状の原因となっている場合もあるので、まずは身体疾患による精神症状を除外するところから始めていきます。

精神科では、どんな治療をしますか?

精神科の病気は、「脳の病気」であると同時に、「こころ(ストレス)の病気」であるともいえます。そのため、その両面に対し治療を行います。具体的には、
脳への治療→主に薬物療法(さまざまな薬を使った治療)
こころへの治療→精神療法、作業療法、休養、環境調整などを、主に行っていきます。
統合失調症の治療について  双極性障害の治療について  認知症の治療ついて

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どんなときに、外来受診を考えるといいですか?

①普通ではない症状が、何日間も続くとき
 人はだれでも、極度の疲労やストレスにさらされると、空耳が聞こえたり、周りに嫌がらせされていると感じる時もありえます。しかし、それが数日間、原因のストレスや疲労が改善しても続く場合は、精神疾患の可能性があります。受診しての相談をお勧めします。
②眠れないなど、不快な症状が続く時
 だれでも、緊張が高まったりストレスがかかったりすると、眠れなかったり、不安になったりの症状は出現します。ただ、それが、ストレス解消など、自分や周囲の力ではなかなか改善せず悩ましい時は、精神科受診をご考慮ください。薬のみならず、精神的なサポートができるかもしれません。
③暴力、大声、リストカットなど、精神症状が原因で他の人や自分に危険があるとき
 精神症状の種類によっては、大声や暴力といった、他の人の害になることに発展する事もあります。逆に、死のうと思ってしまいリストカットするなど、自分を壊してしまうこともあります。そうした場合は、精神科にご相談ください。薬物、環境調整で対応するほか、必要時は、入院での治療も考慮いたします。

精神科というと、気が引けるのですが、相談できるところはありますか?

一般には、市役所の「障害者福祉課」に相談するといいです。状況を相談のうえ、必要があるときには、精神科の受診を勧められると思います。
なお、最近では以前に比べ、精神科への偏見は少なくなってきていますので、気軽に受診して相談をいただければと思います。

診察を受けたら、入院をしなければならないのですか?

入院が必要になるのは、主に次のような場合です。
① 家で見ることが困難なほど重症で、外来では対応できない時
② 大規模な薬の変更が必要で、副作用の綿密なチェックが必要な時
③ そのままでは、暴力や自殺など、自分や周りへの危険性があまりに大きい時
裏を返すと、そうした状態でなければ、多くの場合は外来での治療で対応可能です。
なお、休養や薬の調整のため、自分から入院をご希望の場合は、担当の主治医とご相談ください。

精神科受診させたいのですが、本人が断固拒否しています。

原則は、何らかの形で本人に来ていただくことが必要です。ただし、どうしても受診に同意していただけないことがあるのも事実です。その場合、以下の対策があります。

(1) 福祉と連携しての説得
 家族の説得ではどうしても無理な場合、第三者(福祉)による説得が有効な場合があります。区市町村の福祉担当と相談のうえ、訪問し、説得します。第三者(専門家)の意見には耳を傾ける場合もあります。ただし、それでも拒否することもありえます。その場合は、強制力を持たないのが弱点です。

(2) 警察介入(保護→必要時措置入院:自傷他害の恐れの必要あり)
 もしも暴力、自傷などで誰かが負傷する恐れがある場合は、警察に相談をすることが有効です。実際傷害行為に及んだ場合は、通報の上、警察に保護していただくことが可能です。(そして、精神疾患がある場合は、鑑定の上、措置入院になることがあります)ただし、実際事例化しないと警察としても動きにくい面があるので、リスクが高い場合は前もって相談するといいでしょう。強制処置となりその後の本人との関係が壊れること、及び介入時(警察が来る)の近隣との関係の問題が、欠点です。

(3) いわゆる「民間救急」の利用
説得が無効で、かつ(2)の事例にも該当しない場合、いわゆる「民間救急」(民間の、患者搬送業者)を利用する場合があります。ただし、その特殊性から、非常に高額(数十万以上)となること、及び本人とのその後の関係性の問題があります。

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どのような時に、入院が適応になりますか?

入院が必要になるのは、主に次のような場合です。

① 家で見ることが困難なほど重症で、外来では対応できない時
②大規模な薬の変更が必要で、副作用の綿密なチェックが必要な時
③ そのままでは、暴力や自殺など、自分や周りへの危険性があまりに大きい時

そのほか、調子を崩した時の一時的な「休養入院」が適応になる場合もあります。

入院期間は、どのくらいが目安ですか?

以前は、「入院したら一生出られない」との噂も出るほど、長期入院となる場合は多くありましたが、最近では入院期間は短くなる方向にあり、大半は3カ月以内の入院(早い場合は数週間)です。但し、重症度やサポート状況などにより異なってくるので、より長くなる場合もないわけではありません。

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拘束、独房のイメージがあるのですが?

入院が必要な方の中には、極度の興奮状態にあったり、自殺の恐れが非常に強い状態にあったりする場合もあり、そうした場合には「隔離」もしくは「抑制」をしないと自分や他者の安全を守れないため、やむなくそのような処置を行う場合があります(精神保健指定医の診察のうえ)。ただしあくまでそれが必要な方に限られ、また、そうした恐れが十分減り次第、速やかに中止することになります。そのため、大半の方が、大半の入院期間において、隔離、拘束のない状態で生活することになります。
 なお、当院では急性期病棟、認知症病棟のみ「閉鎖病棟」です。そのため、急性期の段階では病棟での生活になりますが、状態が改善し次第、開放病棟である「リハビリ病棟」に移ることになります。

やはり無理やり注射ということが多いのですか?

当院では、「抗精神病薬」の注射製剤は採用しておりません。(ただし、身体合併症等に備え、抗不安薬などの注射製剤はあります)そのため、急性期の症例でも、経口薬(飲み薬)での治療を行うことになります。(服薬に同意いただけない場合は、粘り強く説得を行ってまいります)。ただし、栄養管理上必要な場合に限り、経管栄養や点滴での水分補給を行う場合があります。

どうしても薬漬けなど怖いイメージが付きまとうのですが・・・

当院では原則、「非定型抗精神病薬の単剤投与」をモットーにしており、症状を抑えられる範囲内で、できるだけ少ない薬剤での治療を心がけております。以前は、「1日4回、山盛りの薬が出る」ことが昔の病院ではありましたが、そうしたことは今ではほとんど見られません。

リハビリとは、実際にはどんな事をするのですか?

一言で言うと、「頭を使うこと」「他の人と活動する事」の練習です。入院が必要な精神疾患の場合、多くの場合で認知機能障害という、「考える能力」の障害が生じ、その結果人間関係が不器用になりトラブルも多くなります。それを、リハビリで少しずつ補っていき、退院後に備えていきます。具体的には、作業療法、病棟でのSST(社会技能訓練)を行っていきます。退院後にデイケアに通所予定の方は、入院中から試験的に通所を始める場合もあります。

精神科では、どんな治療をしますか?

精神科の病気は、「脳の病気」であると同時に、「こころ(ストレス)の病気」であるともいえます。そのため、その両面に対し治療を行います。具体的には、
脳への治療→主に薬物療法(さまざまな薬を使った治療)
こころへの治療→精神療法、作業療法、休養、環境調整など
を、主に行っていきます。

統合失調症の治療について  双極性障害の治療について  認知症の入院治療について

作業療法について、詳しく教えてください。

作業療法とは、運動やものづくりなどの活動や作業を通じて、心身友のリハビリを図る方法です。(学校でいう「図工」や「体育」のイメージです)目標としては、

●頭を使って柔軟な対応力を身につけること
●他の人と協力して物事を行うこと

があります。特に統合失調症では、急性期症状が収まった後も、「認知機能障害」と言われる、考えたり、判断したりする能力の障害が多くの場合のこります。それを作業療法で少しずつリハビリしていき、退院後の生活に備えます。
 作業療法は、(措置入院以外の)状態の比較的安定している方なら閉鎖病棟、開放病棟を問わず参加可能です。また、外来の方も参加可能です。

疾患教室について、詳しく教えてください。

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」ということば(孫子の兵法より)があります。それは、精神疾患につきあう場合も当てはまります。自分の病気は何なのか、どういった病気なのか、そして、その病気と付き合う自分にはどんな症状があり、どんな性格の癖があるのか。それを自分で知ることで、悪くなりそうな時どう対処するのか、どうすれば病気を抱えながらもうまくやっていくのか、次第に見えてきます。

 当院では、平成23年4月より疾患教室の内容をリニューアルし、統合失調症に対する 統合失調症患者教室「きぼう塾」を開催しています。
ご興味のある方は、当院医療相談室までご連絡ください。

家族教室について、詳しく教えてください。

「彼(患者さん)に、どのように接していったらいいのですか」という質問を、よく耳にします。苦しんでいるのはわかっても、接し方がわからなかったり、良かれと思ってしたことが逆効果になったり、関わる人たちの悩みも尽きないものです。
 そうしたお悩みに対して、当院では、平成23年4月より家族教室の内容をリニューアルし、「統合失調症を抱えるご家族のための家族教室」を開催しています。入院、外来双方のご家族が参加可能です。ご興味のある方は、当院医療相談室までご連絡ください。

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退院したら、どこに戻るのですか?

「もといたところに戻る」のが基本ですし、それを目標としたいと思います。もと、家にいた方は家に戻るのが本人にとってもいいと思います。(退院直後のリハビリ中は、服薬や調子につき、見ていてくれる人がいると非常に心強いです)ただ、入院前にあったご家族とのわだかまりの問題もあることがありますので、その場合は入院中に本人、ご家族と話し合いを持っていくことになります。

逆に、入院前一人暮らしの場合は、退院後に一人でのリハビリとなりますが、生活能力によっては、むしろ再発を導いてしまう場合もあり得ます。そのため、入院中に生活能力や再発のリスクについて丁寧に検証を行い、そのうえで、一人暮らしが妥当なのか、ご家族に協力を仰ぐべきなのか、生活の訓練をする施設(中間施設)を紹介すべきなのかを考えていくことになります。

入院前は一人暮らしでしたが、そこに戻ると再発が心配です。

精神科のご病気の場合、入院で治すだけでなく、「いかに再発、再入院を防ぐか」が大事になります。一人暮らしの場合、退院後のリスクとしては、

①薬の飲み忘れや服薬中断
②生活(自活)のストレス
③人間関係のストレス、

が主です。 退院を検討する際には、この3つについて検討を行い、一人暮らしでも再燃の恐れが十分少ないかを調べます。その結果、

●十分リスクが少ない → 一人暮らし退院を目標とする
●ややリスクがある → 補助サービス(訪問看護、デイケア等)併用での一人暮らしを検討
●大変リスクが高い → 家族に協力を依頼、もしくは中間施設行きを検討

となります。なるべく再発を防ぎ、かつ本人のご要望を満たせる形での退院を検討します。

これまでずっと入院でしたが、退院すると聞き心配です。サポートはあるのですか?

入院が長期化して入院生活に慣れていたり、認知機能障害で生活能力が落ちている場合、退院後の不安が出てくるのももっともです。その際、退院後の再発予防、生活リハビリとして以下のようなサービスがあります。

●作業療法 → 外来でも行えます。生活リズムの改善にも有効です。
●デイケア → 朝から午後まで参加するものです。「学校」と似たイメージです。
●訪問看護 → 定期的に看護スタッフが訪問に参り、生活や服薬を確認します。
●生活訓練施設 → 退院前に生活を訓練する施設。病院と自宅の中間のイメージ。

退院後のサポートは、どうなりますか?

多くの精神疾患は、退院後も一貫して、経過観察や服薬継続が必要となります。そのため、退院後も外来通院を継続していくことになります。また、生活(特に一人暮らし)に不安が強い場合は、訪問看護が導入されることがあります。当院近くだと当院訪問看護スタッフが対応し、遠方の場合は、地域の訪問看護団体に相談依頼する形となります。

退院後は、自宅近くのクリニックにかかりたいのですが。

自宅が当院から遠方の場合は、近くのクリニックに通うことは可能です。その場合、入院の経過につき「診療情報提供書」を当院で作成し、それをクリニックに提供することで医療情報と治療の引き継ぎを行うことができます。

訪問看護について、詳しく教えてください。

入院中は、看護スタッフがいろいろな場面でお手伝いいたしますが、退院後、特に一人暮らしでは、服薬から食事、生活に至るまですべてを自分一人でこなさねばならず、特に認知機能障害で、生活能力が落ちている場合は相当な負担になります。そうした場合に定期的にお宅を訪問し、その助けをするのが訪問看護です。実際の生活や服薬状況を見させていただきアドバイスをする他、悪化の兆候があるときは速やかに医療と連携をとり、再燃の予防に努めます。当院近くでは当院訪問看護スタッフが、遠方では地域の訪問看護団体と連携を取って行っていきます。

デイケアについて、詳しく教えてください。

入院中は活動的にしていたのに、いざ退院すると自宅に引きこもってしまい、そこから生活が乱れ、ゆくゆくは再燃、再入院となってしまう…、そうしたことは意外に少なくありません。いきなり仕事までは復帰できないが、日中活動できる場がほしい、そうした希望にこたえていくのがデイケアです。まるで学校のように、朝にデイケアに向かい、日中活動し、夕に家に戻る。そうして毎日のリズムをつけると同時に、退院後もリハビリを継続していくことを目指します。当院では、9:00-15:00の時間で、デイケアをおこなっています。
入院中の方も見学、試し通所が可能です。ご希望の方は、主治医または医療相談室までご相談ください。

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他の科と、診断の仕方が違うように思うのですが?

「内科などでは、多くの場合、実際に病気が検査で確認することができます。(例えば、胃が痛い場合、胃カメラを行って実際に「胃潰瘍」が見えれば、胃潰瘍の診断で確定します)
しかし、精神科の病気は、そのほとんどが、脳の内部で起こっているため、検査で確定に至ることができません。そのため、相手から詳細に情報(病歴)を聞き、症状を特定し、そこから「疾患名」の仮説を立てる(見立て診断)という方法をとらざるを得ません。すなわち、精神科での診断は、(その段階で最も可能性の高い)「仮説」でしかないわけです。逆に、その「仮説」の精度を少しでも上げるために、いろいろな角度から、いろいろな情報を、ときにはしつこく聞いていく必要があるのです。そして、新しい情報が入った時に、「仮説」を修正する事、つまり「診断名が変わること」も、あり得るのです。
 精神科分野でも、内科と同じように、各疾患と対応する検査項目がないか、日々研究が進んでいます。ただ、今のところ、ほとんどの疾患で、それは見つかっていません。

先生によって、診断が違う場合が多いのですが。

前項でふれたように、精神科の診断は、収集した情報をもとに行う「仮説」です。そのため、得られた情報の内容や、先生がその情報をどう「解釈」するかによって、診断名が変わってくることは起こりえます。ただし、初期段階では診断名が違ってくることがあっても、次第に情報が多角的に集まり、仮説の精度が高まってくるに従い、その個人差も狭まってくるように思います。

体の病気でも、精神科の病気と似た症状は出うるのですか?

十分あり得ます。例えば、脳の腫瘍が原因で、統合失調症のような幻覚妄想状態になることもありますし、甲状腺ホルモンの異常でイライラや気分の沈みが起こることもあります。そのため、精神科医は、精神症状のある方を見る場合に、常に「体の病気が絡んでないか」注意を払います。そして、入院時には必ず身体の検査を一通り行い、外来でも疑われる場合は適宜検査を行います。

検査でわかることはあるのですか?

①身体の検査(血液検査、画像検査など)
 身体的な原因がないか、その除外が主な目的となります。また、一部の薬物の濃さ(血中濃度)を測って、治療に役立てる場合もあります。
② 脳波検査
 意識の障害が疑われる場合、及びてんかんが疑われる時に行います。
③ 心理検査
 知能や、人格の傾向が分かります。特に診断が難しい場合や知能を知りたい場合に用います。ただし、知能の障害を除き、これだけで診断に至ることはなく、病歴を重視します。

DSM-Ⅳというものがあると聞いたのですが。

DSM-Ⅳとは、アメリカ精神医学会が定めた、診断に関する指針(現在のもの(DSM-ⅣTR)は2000年に作成、次回版のDSM-Ⅴが2010年以降に発表予定)です。
別の項にも記載があるように、従来の精神科の診断は問診などによる情報を多角的に見ていき、「仮説」として診断をします。すると、そこには必ず医師の「個人的判断」の余地が入り、そのため、医者によって診断が違ってくるという問題点がありました。
その問題点を解決するため、主な根拠を「症状の有無」に絞って明確に定義して、各医師間での診断の食い違いを最小限にしたのが、このDSM-Ⅳです。特に、科学的な分野(論文など)では爆発的に普及しました。しかし一方で、判断基準が一面的になってしまい、相手(患者さん)の全体を把握しきれない、そのため、最善の治療方針に必ずしも結びつかないという批判もあり、一長一短です。
われわれの方針としては、DSM-Ⅳも参考にしつつ、多角的に情報を集めて、診断と治療を行っていきたいと思います。

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精神科では、どんな薬を使うのですか?

主に使う薬を分類すると、以下のようになります。
●抗精神病薬(統合失調症の治療、及び各種興奮症状に対して)
●抗うつ薬(うつ病に用いる。効くまで2週かかるのが難点)
●気分安定薬(躁うつ病の気分の波を小さくする)
●抗不安薬(神経症や重度の不安に対し用いる。)
●睡眠薬(睡眠の補助として。不眠の種類(入眠困難か途中覚醒か)で使い分け)
また、精神科の薬の副作用止めとして、 抗パーキンソン病薬や下剤が用いられることがあります。
 なお、当院では、なるべく副作用の少ない薬を単剤、できるだけ少量で用いることにより、副作用止めの使用を最低限にするよう努めています。

薬を自分で止めると、どうなるのですか?

非常に危険です。まず、中止することにより、病気が悪化したり再燃したりしてしまいます。それのみならず、急激な中止に脳が付いて行かず、イライラや手の震えなどの、さまざまな「離脱症状」が出現してしまいます。(時には、「悪性症候群」という命にかかわる副作用も出る場合があります)
 そのため、薬をやめたり減量したりする場合は、必ず主治医と相談してください。もし病状が安定していて減量や中止が可能な場合は、離脱症状が出ないよう、段階的に減量を行っていくことになります。

薬以外の治療には、どんなものがありますか?

精神科の病気は、「脳の病気」であると同時に「心の病気」でもあります。前者にたいしては主に薬を用いますが、後者に対して、さまざまな治療、サポートがあります。具体的に挙げると、以下のようになります。
●精神療法(本人の心やストレスへのアプローチ。まずは話を聞き、必要時助言する)
●作業療法(頭を使ったり他者とかかわったりすることのリハビリ)
●疾病教育(自分の病気を知り、自分で、以下に病気と付き合うかを見つけ出す)
●家族療法(周囲の本人への関わり方を見つめなおす。家族のガス抜きも兼ねる)
●環境調整(環境の調整をして、退院後のストレス因子を除去する)

精神療法には、どんなものがあるのですか?

まずは、「支持的に話を聞き(傾聴)、相手を受け入れる」こと(支持的精神療法)がすべての基盤にあります。そのうえで、必要がある場合に、以下のような専門的な精神療法を並行するか、検討していきます。
●認知行動療法(自分の認知の癖に気付き、それを反復練習で修正する)
●精神分析的精神療法(過去に原因を探り、直面することで解決を図る)
●森田療法(無理をすることを禁じ、あるがままに生きることを段階的に目指す)
●内観療法(自分の内面を深く振り返り、今後の自分の在り方を探す)
●対人関係療法(ストレスとなる対人関係に焦点を当て、その解決を図る)
●家族療法(家族の本人への接し方を振り返り、より良い方向を探していく)

疾病教育について、教えてください。

以前は、精神疾患に対する偏見が強く、そのため本人にも病名が告知されず、漫然と薬の投与が続く例も多くありました。しかし最近では、病名を告知の上、自らその病気について知り、自分で対処法を考えて病気とうまく付き合っていくことが求められるようになっています。その結果、より能動的に、病気と向き合うことができるようになります。そのためには、自分の病気について、対処法も含め教わること、すなわち疾病教育が必要になります。
当院でも、統合失調症患者教室「きぼう塾」と銘打った疾病教育プログラムを開催しています。そこで教わった事実をもとに、今度は自分自身が実際のいろいろな場面でどう対処していくか、少しずつ考えていくことになります。

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